2026年8月23日

こんにちは。高田馬場早稲田通り歯科・矯正歯科の医療コラムです。
歯医者さんを受診した際、「通常のレントゲンを撮ったのに、さらにCT検査も受けることになった」という経験はありませんか?
「なぜ2回も撮影するの?」「レントゲンだけではダメなの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。今回は、歯科用CT(コーンビームCT)がなぜ必要なのか、どんな治療でどのように役立っているのかを分かりやすく解説します。
1. 平面(2D)のレントゲンと立体(3D)のCTの違い
これまで広く使われてきたパノラマレントゲン写真は、お口全体を平面的(2次元)に把握するのに適しています。しかし、どうしても「奥行き」や「骨の厚み」、「重なり合う影に隠れた部分」までは正確に映し出せません。
一方、歯科用CTは「立体(3D)」の断層画像を撮影できます。 あごの骨の厚みや硬さ、内部を通る神経・太い血管の走行位置を0.1mm単位の実寸レベルで立体的に再現できるため、患部の状態をあらゆる角度から正確に把握できます。
2. 歯科用CTが重要な役割を果たす治療
CT検査は、外科的な処置から日常の診療まで、治療の安全性と精度を高めるためにさまざまな場面で活用されています。
① 親知らずの安全な抜歯
下あごの奥深くに埋まった親知らずのすぐ近くには、「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という重要な神経や太い血管が通っています。
CTで神経と歯の根の立体的な位置関係を正確に把握することで、抜歯時の神経麻痺や大量出血といった重大なリスクを回避し、安全でスムーズな抜歯計画を立てることができます。
② 歯列矯正の精密な治療計画
歯列矯正は、あごの骨の中で歯を適切な位置へ動かしていく治療です。
歯を支える骨の厚みや硬さ、歯の根(歯根)の向きをCTで立体的に確認しておくことで、「無理に動かして歯根が骨から突き出てしまう」「歯根が吸収してしまう」といったトラブルを防ぎ、無理のない確実な歯の移動を計画できます。
③ インプラント治療の事前シミュレーション
インプラントを安全に埋め込むためには、骨の幅・高さ・骨質の正確な診断が不可欠です。
撮影したCTデータをもとに、コンピュータ上で埋入位置や角度・深さを事前に綿密にシミュレーションします。さらに、そのデータを反映したマウスピース型の手術用ガイド(サージカルガイド)を用いることで、計画通りの正確で安全な手術が可能になります。
④ 根管治療(歯の根の治療)や歯周病の診断
歯の根の内部にある神経の管は非常に複雑で、枝分かれしたり湾曲したりしています。また、歯周病による骨の溶け方も立体的です。
通常のレントゲンでは見逃しやすい微細な根のヒビ(破折)や隠れた病巣、骨の吸収状態を正確に捉え、より精度の高い処置につなげます。
3. 「自覚症状のない病変」の早期発見にも役立つ
CT撮影を行うもう一つの大きなメリットは、主訴(気になっている部分)以外の隠れたトラブルの発見です。
たとえば、上あごのCTを撮影した際に、上顎洞(鼻の横にある空洞)の炎症(副鼻腔炎など)やのう胞(膿の袋)が偶然見つかることがあります。自覚症状が出る前に発見できるため、早期の適切な処置や、より安全な治療プランへの調整が可能になります。
4. 気になる「放射線の被曝量」について
「CT」と聞くと、医科用の全身CTを連想して被曝量を心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯科用CT(コーンビームCT)は撮影範囲をお口周りに限定しているため、医科用CTと比べて被曝線量が大幅に抑えられています。日常の生活の中で自然に浴びている自然放射線量と比較してもごくわずかであり、お体に配慮した安全な検査です。
まとめ
歯科用CTは、お口の中の「目に見えないリスクを立体的に可視化し、安全で確実な治療を行う」ために欠かせない精密な検査機器です。
「できるだけ安全に親知らずを抜きたい」「矯正やインプラント、根の治療を確実に進めたい」という不安を解消し、納得して治療を受けていただくための大切なステップとなります。検査や治療に関して気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

