2026年7月22日
こんにちは。高田馬場早稲田通り歯科・矯正歯科です。
むし歯や歯周病、破折などで歯を1本失ってしまった際、治療法として主に選ばれるのが「ブリッジ」と「インプラント」です。
患者さんから「ブリッジとインプラント、どちらが良いですか?」とご質問をいただいた際、当院では単に欠損部位を見るだけでなく、「両隣の歯がどのような状態か(神経のある生活歯か、神経のない失活歯か、すでに削られているか)」を最も重視して診断を行っています。
今回は、臨床研究の論文データと現代歯科医療の考え方をもとに、それぞれの選択基準について分かりやすく解説します。
1. データで見る「ブリッジ vs インプラント」の8年生存率
1〜2本程度の歯を失った患者さんを対象に行われた臨床追跡調査によると、治療から8年が経過した時点での生存率(トラブルなく機能している割合)には、以下のような違いが見られました。
インプラント群:92.1%
ブリッジ群:59.3%
全体の数字で見るとインプラントの方が良好な成績を示していますが、このデータを「支台歯(土台となる隣の歯)の状態」で分けると、さらに詳しい臨床のリアルが見えてきます。
2. なぜ差が出る?カギを握るのは「土台となる隣の歯(支台歯)」
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削り、橋渡しのように繋げて固定する治療法です。この支台歯を「神経のある歯(生活歯)」と「神経のない歯(失活歯)」に分けて経過を観察すると、以下のようになります。
両方の支台歯が生活歯であるブリッジ:8年累積生存率 94.0%
1本でも失活歯が含まれるブリッジ:8年累積生存率 54.1%
データ上は「両方が生活歯であればブリッジも長持ちする」ように見えますが、現代の歯科臨床では「だからといって健康な生活歯を削ってブリッジにして良いか」というと、そうではありません。
3. 支台歯が「神経のない歯(失活歯)」の場合:破折リスクを回避する
支えとなる隣の歯のうち、1本でも神経がない失活歯が含まれている場合、ブリッジの8年生存率は54.1%と大幅に低下します。
神経のない歯は残存歯質が少なくなっており、そこへブリッジによる大きな噛み合わせの負担が集中すると、歯の根元から割れる「歯根破折」を起こしやすいためです。歯根破折を起こした歯は、多くの場合抜歯となってしまいます。
そのため、隣の歯が失活歯であるケースでは、これ以上その歯に負担をかけて失わないために、独立して力を受け止められる「インプラント治療」が強く推奨されます。
4. 支台歯が「健全な神経のある歯(生活歯)」の場合:MI(削らない治療)の観点
「隣の歯がどちらも神経のある健康な歯(生活歯)だから、生存率の高いブリッジにしよう」と安易に選択することには、現代の歯科医療(MI:Minimal Intervention=可能な限り削らない治療方針)において大きな懸念があります。
⚠️ 健康な歯を削る最大のデメリット(歯髄炎のリスク)
まったく削られていない健全な生活歯をブリッジの土台にするために全周大きく削ると、以下のような連鎖トラブルを引き起こすリスクが高まります。
切削刺激による歯髄炎(Pul): 歯を大幅に削る刺激で神経が炎症を起こし、激しい痛みやしみる症状が出る。
抜髄(神経を取る治療): 歯髄炎を起こすと後から神経を取らざるを得なくなり、結果として「失活歯」になってしまう。
将来の歯根破折: 失活歯になったことで将来的に割れるリスクが高まり、歯の寿命を縮めてしまう。
そのため、「両隣が健全な生活歯であるからこそ、その健康な歯を削らずに守るためにインプラントを選択する」という考え方が、長期的にお口全体の歯を残す上で非常に重要なアプローチとなります。
※ただし、両隣の歯が「すでに大きく削られて大きな被せ物が入っている生活歯」である場合などは、改めて削る侵襲が少ないため、ブリッジも非常に有効で現実的な選択肢となります。
5. あなたに最適な治療法を選ぶために
このように、単に「欠損した部位」を見るだけでは最適な治療法は決まりません。
両隣の歯がまったく削られていない健全歯か
すでに神経を取っている失活歯か
インプラントを埋入するための骨の量や厚みが十分にあるか
全身疾患の有無やご予算
当院ではこれらを総合的に診断し、「10年後・20年後にお口全体の歯がどうなっているか」を見据えた治療計画をご提案しています。
6. まとめ
歯を失った際の治療アプローチは、隣の歯の状態によって次のように整理できます。
隣の歯が「神経のない失活歯」の場合: 歯根破折による連鎖的な抜歯を防ぐため、インプラントが非常に有効
隣の歯が「削っていない健全な生活歯」の場合: 隣の歯を削って神経を痛める(Pul)リスクを避けるため、インプラントで健康な歯を守ることが第一選択となりやすい
隣の歯が「すでに大きく被せ物がされている生活歯」の場合: 長期生存率も高く、ブリッジも良好な選択肢となる
「自分の隣の歯はどんな状態なんだろう?」「削るリスクとインプラントのリスクをしっかり比較したい」という方は、ぜひお気軽に高田馬場早稲田通り歯科・矯正歯科までご相談ください。
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高田馬場早稲田通り歯科・矯正歯科 秋谷聡

